Daisuke Kubota 〜 Neutral football

フットボールと社会をつなぐ。現実の殻を破る。

失敗を怖がれ

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僕ら指導者は、よく選手達に対して「失敗を恐れずに」とか「失敗してもいいから」なと、つい言ってしまう。
でも最近、それは間違いなんじゃないかと僕は思ってます。これ言い過ぎるのは、無責任だとも思うようになった。

人間は皆、弱いし臆病。誰だって失敗は怖い。だから「失敗を恐れる、怖がる」ことは決して恥ずかしいことじゃない。
失敗を恐れながらプレーすること。その恐怖は次のステージに行くための大きな壁。でもその壁を自分で打ち破ることこそが、本当の習得、上達、成長なのだと思う。

「失敗をしたくない」から「何もしない」のではなくて
「失敗をしたくない」からこそ「何が何でも成功させる」という強い気持ちに置き換えられるように。

失敗してもいいや、という軽い気持ちでチャレンジし例えそこで成功しても(その成功体験も時には必要だけど)そればかりでは、本当の習得、上達、成長には繋がらない。

「何が何でも成功させる」という強い意志のもとでチャレンジし成功した技術こそが本当の技術であり、本当の成功体験なんじゃないか。

だから僕ら指導者は
「失敗してもいい」でもなく「失敗を許さない」でもなく、失敗を怖がり恐れるのは当たり前、でもその恐怖に対し、勇気と冷静さを持ってチャレンジしろ、というスタンスでいたい。そこに打ち克つ技術とメンタルを、日常のトレーニングで身につけさせてあげるべきだろう。

でも、失敗は誰でもする。必ずする。だからその失敗は、他の味方がカバーする。あいつはこうなると失敗しそうだな、この持ち方になると危ない、というのは相手選手よりも味方達の方が知ってるわけで、だからこそ、相手よりも早くサポートできる。それがチーム。
そのチームワークも発揮できるように、指導者は導いてあげないといけない。


リオ五輪決勝、最後のPKを蹴る前のネイマールの表情、めっちゃキョドってたでしょ。全然自信満々でもないし、リラックスなんて当然していなかった。失敗するわけにはいかない、絶対に成功させなければいけないという、とてつもない恐怖と戦っていた表情。

僕はあの場面でネイマールは外すと思っていたけれど、彼は見事に決めた。
恐怖と重圧に勝ち、解放されたからこその、あの涙だったんじゃないかと思うんです。

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あのキック一本を成功させたことで、彼は今よりもう一段上の、違うステージに這い上がって行った。

今回のリオ五輪、他の競技を見ても、本命と言われてそのまま勝ち切った選手達、絶体絶命の苦境に立たされてから大逆転した選手達が、日本選手にもたくさんいたじゃないですか。
彼ら彼女らを「メンタル半端ねぇ」で済ますのではなくて、たぶんあの人達は常に失敗を恐れ怖がりながら、でもその恐怖を「何が何でも」というモチベーションに替えて、これまでトレーニングしてきた人達なんじゃないかなって思うんです。

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ネイマールやオリンピック選手と育成年代の選手を一緒にするなと言われそうだけど、無理強いにならない程度に、日常の基準を上げていくことは絶対に必要だと思う。ピッチ上のどんな場面でも。それが、近年流行りの「インテンシティー」という言葉を表す本当の意味なんじゃないかなと思います。

その習慣は、普段からつけないといけない。でもそれがストイックになりすぎたり強迫観念を与えないように、できれば笑いながらやれるくらいの雰囲気でやってこそ、一流のコーチ。自分もそうなれるように頑張ります

 

(この記事は、筆者が持つBlog『We can be adlibler 』にて2016年8月24日に掲載した内容に加筆、再編集したものです)