Neutral football

イメージした理想が現実を塗り替える。フットボールと社会をつなぐ

言葉の大切さと奥深さ 〜 園児が教えてくれること

f:id:neutralfootball:20180502094821j:image
ある日の園児練習にて。

園児と練習してる時、上の画像のようにコーンをゲートに見立て、その間を通る時にスピードを上げるような見本をまず僕がやってみせて
「今どんな感じでやってた?」と聞けば
彼ら「ゆっくりと、速く」と答えが返ってくる。
では「そだねー。じゃ、コーチはいつスピードを上げてた?」と聞いた。
てっきり「コーンの間を通る時」と返ってくるかと思っていたら
「コーンの間を通ろうとしてる時から」と返した子がいまして。しかも年中さん。まだ4歳。
Detailの違いだけど、大きな違いっすよね。これは。
子どもはちゃんと見てる。

「通る時」と「通ろうとしてる時から」では、言葉の意味としても大きく変わってくる。
確かに、コーンの間を通る時にスピードを上げたいと思って自分は見本を見せていたのだけど、実際は通ろうとしてる時からスピード上げてる。
相手を抜く時は「相手の1m手前から相手の1m背後までのところでスピードを上げるんや」と、今月初旬、大阪で尊敬するあの方が言っていた。

「確かに。じゃみんなも《通ろうとする時》からスピードを上げてやってみよう」となり、彼らのドリブルは緩急のメリハリがついたモノへと変わっていった。4歳の言葉が、周りの子達のプレーを変えた。

 

子どもは、ちゃんと見てる。そしてプレーの本質を、しっかり言葉で説明できる。たかが園児、たかが4歳とタカをくくっていたら、大切なことを伝えられず、ましてや偽物の言葉は見抜かれてしまう。

彼らの持つ感性を、改めて実感した場面だった。

f:id:neutralfootball:20180502094839j:image
この画像は、マーカーで設定したグリッドの中に鬼を置いて、鬼に蹴られないように通り抜けるという練習なのだけれど
ここでも、ほぼ言葉だけでプレーを引き出せる。

「今!っていう瞬間を見つけてごらん」と言うだけで、子ども達は鬼の位置を確認し、鬼の向きと鬼の目線を気にし、他の選手がグリッドに入っていって鬼がそっちに引きつけられた瞬間を狙って行くようになる。
手取り足取り、ましてや本当に子どもの手を引っ張って「ほら、サッカーは広がるんだよ!」と教えるスクールもあるけれど、そんなことは愚の骨頂。

彼らを馬鹿にしてはいけない。想像と妄想が広がる言葉をぶつけて上げれば、彼らはめっちゃ考えますよ。めっちゃ工夫します。めっちゃ観察した上で、実行に移すわけです。
個性とはそうやって引き出し、伸ばしていけるんじゃないのかな。

言葉って本当に大切。だからこそ僕ら大人は、自分の哲学を持ち、自分の言葉を持ち、それをどう放てば、彼らに伝わり沁み入っていくのかを、常に考えないといけない。

その大切さは子どもが教えてくれる。園児は僕らの先生なのだ。