Neutral football

イメージした理想が現実を塗り替える。フットボールと社会をつなぐ

子どものやる気を引き出す7つのしつもん

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友人の藤代さんが

子どものやる気を引き出す7つのしつもん という本を出しました。

http://shimt.jp/book/


献本までしてもらい、感想をお願いされていたのにずっと読めずにいて
昨日ようやく読むことができたので、感想書きます。

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スエルテ横浜での試合や練習があった日、その帰り道や夜などに、自分がその日どういう姿(言動、振る舞い)で子供達に接していたかを客観的に振り返った時、どうしても「何かを伝えたい」という思いが強すぎて、やや一方通行、押しつけになってしまっていたな、と感じる日の方が多い。そんな日は、いつも自己嫌悪に陥ってしまう。

こういうサッカーを伝えたい、こういう考え方を体現してほしい…という思いが強すぎてそれが溢れてしまうと、逆に子供達は心を閉ざす。
これは自分の経験上でも充分に痛感してきたし理解しているつもりなのだけれど、毎日、毎時間、全て自制してずっと笑顔でいられるほど、僕は心も強くないし自制心もない。

これが単なる外部コーチの身ならば、きっともっと気軽に子供達と接することができる。
現にスエルテ以外で外部コーチとして関わっているクラブでは、実際そうなのだから。

スエルテでも、同じような自分でいたい。そう思いながら、毎日を過ごしていた。
正直、もっと楽になりたいと思いながら、スエルテの練習や試合に行く日々。

そんな時に藤代さんのこの本書を読んで、スエルテでの「なりたい自分」はどんな姿なのか、を冷静に省みることができた。

自分が子供の頃、好きだった大人のようになりたい。
子供達に「ここでサッカーするのが、なんか好き」と思ってほしい。

結局、この二点に尽きるのだ。

僕は子供の頃(小2〜中2)空手をやっていた。体も小さかったし運動神経も良い方ではなかったから別に強くも巧くもなかったけれど、なぜかこの空手道場に行くのが毎回大好きで、だからこそあんなに長い期間、続けられたのだと思う。

あの頃「師範」として関わってくれた先生達は、怖い人も優しい人も面白い人もいたけれど、それぞれに共通していたのは
「この人は僕のことを認めてくれている、ちゃんと見てくれている」と思わせてくれる人ばかりだった。

本書でたびたび出て来るフレーズ
「質問は正解を導くためではなく、子供達に自ら考えてもらうため」
「答えは全て正解」

今振り返れば、あの先生達も、これを実践してくれていた気がする。だからこそ組手の試合で負けても、型の演武でミスしても、腐らず劣等感も持たずに数年間も空手を続けられたんだろうなと、あの頃の思い出が一気に蘇ってきて、練習に向かうバスの中で本書を読みながら、少し泣きそうになってしまった。

こちらから一方通行で「やらせる」「出来るようにさせる」のではなく、
「共有できるもの、信じられるものをその瞬間に生み出す」ような練習が、僕の中での理想。そんな練習ができるのは、月に一度くらいだけれど。

でもそんな練習ができた日を思い返せば、自分も常にポジティブで、子供達に対して笑いながら接してて、子供達とイーブンな関係で会話できている日。
だから自然に問いかけもできるし「しつもん」ができている。それに対する子供達からの答えも素直に受け止めることができて、そこからまた想定外の方向に話が進んで、新しい練習が思いついて脱線したり。
脱線て大事。そういえば、学校でもすぐ話が脱線する先生の授業は楽しかったし、人気もあったよね。

本書のページをめくりながら、あぁ、確かにそうだよな、自分の心持ち一つで、練習の雰囲気が左右されてしまうよなぁって、良くも悪くも納得できた。

本書を読み終わってまず湧いてきた感情は
「子供達にとって、自動販売機のような存在でありたい」というものだった。

飲み物を供給するだけでなく、暗い中でも光を発している存在。
子供が自分に何を求めているのかに応え、それにプラスアルファできる存在。
子供達から、自然に寄ってきてもらえるような存在になりたい、と。

そのためにも、まずは自分から。子供達の声もミスも受け止め、そこで一緒に考え、ポジティブな脱線を繰り返しながら、共有できるものをたくさん生み出せるように。

そのためにも「しつもん」をしていくことで、それぞれの子供達の、まだ見えていないどこかに光を当てることができるかもしれない、と思った。

上述した空手時代や、中高でのサッカー部時代、また指導者講習会などで選手役となった時に、コーチや先生から言われて嬉しかった言葉は、意外と単純で
「なるほど」「それ、イイね」とかだったりする。

自分のアイデアが認められること。自分発、の嬉しさ。
これは、子供でも大人でもきっと変わらない。
認めてくれた、受け入れてくれた、アイデアを採用してくれてそれを他の仲間達も共有してくれた…っていう嬉しさ。

「しつもん」で、そんな嬉しさを子供達にもっともっと実感してもらいたい。
そう思ったら、次にスエルテの練習に行く二日後が、何だかとてもワクワクしてきました。

楽になりたい、と思っていたけれど
本書を読み終わって、本当に、少し楽になれた気がします。藤代さんありがとう〜