Daisuke Kubota 〜 Neutral football

Footballで社会をつなぐ。現実の殻を破る。日常を笑い飛ばそう

触らないドリブル 〜 久保裕也の凄さ


KAA Gent Kubo 久保裕也スーパーゴール4人抜きゴール!KAAヘント対KVメヘレン

 

先日、ベルギーリーグで久保裕也が魅せた4人抜きゴール。このゴールは日本人選手があげたゴールの中では、近年稀にみるスーパーゴールだと思う。

では、このゴールのどこがどう凄いのか。

 

ドリブルって「ボールに触る」技術だと思いがちだけど、ボールに触らないでいることのほうが、相手に奪われにくい。
でも、触っていなくてもボールは自分が持ってる。これが、本当に巧い持ち方。持ちながら(ボールの一番そばにいながら)運ぶだけ。
ドリブルってそういうもの。

 

サッカーはミスが付きものなスポーツ。
丸いボールがあるからミスが起こるし、しかもそれを足で扱うからミスが起きやすいし、余計に触るから、ミスの可能性が高まる。

 

このゴールの久保を見てみると
まず、パスを受ける時にボールに触らず前を向き、相手を一人置き去りにして、タン、タン、タンの3タッチでただボールを前に持ち出し一緒に走るだけで、二人を剥がしてる。
そして4タッチ目で方向を変え後ろから追いすがる敵のコースに入り、三人に囲まれながらボールを運んでいくのだけれど、囲まれたこの時、久保は一切ボールに触ってない。ただボールを自分の懐に入れて、触らずに一緒に進んでるだけ。


周りには3人の敵が密集してきているのに、久保はまだボールに触らない。シザースを入れ体を揺らしながら、まだボールに触らない。

触らない。でも、ボールは俺が持ってる。ボールは俺の支配下にある。この感覚。これが最強の「持ってる」ってこと。

 

つまり「触っていないけど、敵よりも必ず自分が先にボールに触れる場所」に自分がいるだけ。この状態でボールを持てば、敵は飛び込めないよね。

で、最後のペナ内に侵入する時、急にダブルタッチをかまして相手をやっつけ、下手な選手ならここで勢いに乗りすぎてボールが流れがちだけど、でもまだ久保のそばにはボールがある。いや、ボールの一番そばに、久保がいただけ。

だからこそ、冷静に右足でファーサイドに流し込むシュートも打てた。
受ける→剥がす→運ぶ→やっつける→放つ この流れ、完璧すぎてメシが三杯食える。

 

結局40メートルをぶっこぬいて最後はダブルタッチも混ぜたくせに、シュートまで合わせても、計8回しかボールに触ってない。

 

敵の様子と動きを完全に見切ったスーパーゴール。これを可能にする持ち方。


うちの子達がよくやる「内足で持つ」ことも、これに近い感覚。

触らないから、ボールに気を取られない。敵の様子を最後まで伺えるし、動きを見切れる。
触らないから、触りたい時に先に触れる。

これが最強の持ち方。
この感覚、この持ち方を身につけることで、視野も変わるし頭の中も変わるし、つまり判断の質が上がるし、つまりプレーが変わる。

 

ボールに縛られずに、ボールから自由になれるってこういうこと。
それを実戦の場で狡猾にやってのけた久保くんは、かなり凄いヤツだと思うのだ。